油絵 新関創之介の創世日記

会期|
2019.3.16.-3.23(休廊日なし)
時間|
15:00-20:00
場所|
パープルームギャラリー
企画|
パープルーム
協力|
パープルーム予備校

本展について


 この度、パープルームギャラリーでは新関創之介の個展「油絵 新関創之介の創世日記」を開催いたします。
新関創之介(1974年神奈川県生まれ)はこれまで自宅アパート近くの植木や、野菜や果物、異様なポーズをした人物など、ごく身近な対象をモチーフにした絵画を数多く制作してきました。

 新関作品の特徴として、レリーフのような浅い奥行きや、各パーツがぬり絵のように固有色で塗り込められた明るい画面などが挙げられるでしょう。例えば《芙蓉》(2014年)は比較的大きな作品ですが、実際のモチーフを忠実に写生されているのではなく、花や葉の向きや重なりが装飾化とも抽象化とも違う方法でボリュームを保ったまま単純化されています。さらに絵の中の対象の裏側の面が全く想像できない。つまり、絵の中にしか存在し得ない特異な空間を形成しているのです。本来は三次元である対象を二次元に落とし込む際に、新関は美術教育を受け始めたばかりの画学生のような辿々しさと、けっして短くない新関の画業の中で磨き上げられた熟練工のような洗練との間でゆらめいているように見えます。
また、これらの正面性の極めて強い作品群は美術史上の何かと比較されながら読み解かれることを頑なに拒んでいるかのように感じられます。強いて挙げれば、新関の作品はアンリ・ルソーやアンドレ・ボーシャンといった19世紀~20世紀フランスの素朴派との共通点を見出すことはできるでしょう。
しかしながら新関は独学で絵を学んできたわけではありません。美大を出ている上に母は美術史家、父は大学教員で彫刻家であり幼少期から多くの美術作品に触れて育ちました。さらに独立展、現創展と公募美術団体展への出展歴もあります。

 現在、日本の美術シーンでは日曜画家および公募美術団体展、現代アートなどの異なるクラスタは互いに関心を持つことはほとんどありません。新関の活動、作品はそんな島宇宙化してしまった美術、絵画の世界を漂流してきました。
新関は幼少期から美術や絵画の制度と密接に関わってきたはずですが、それらに絡めとられることはありませんでした。そういう意味でも新関は稀有な画家であると言えるでしょう。
そんな新関の5年ぶりの個展となる本展は、初期作品から最新作まで、画家の20年にわたる仕事を一望できる貴重な機会となります。


                                       パープルーム(梅津庸一)






作家のプロフィール

新関創之介
1974年神奈川県に生まれる。1998年東京造形大学卒業。
昭和40年代から高度成長経済と共に首都圏に移住する人々のベッドタウンとして建設されたのどかな大型住宅団地で育ち現在もそこで生活、制作している。
現創展会員。子ども絵画教室の講師もしている。