オブジェを消す前に  -松澤宥 1950-60年代の知られざるドローイング

Matsuzawa Yutaka SOLO EXIBITION

会期|
2019.2.2.-2.22(水・木曜日は休廊)
時間|
14:00-20:00
場所|
パープルームギャラリー
企画|
パープルーム(梅津庸一)
協力|
一般財団法人 松澤宥プサイの部屋

本展について




この度パープルームギャラリーではオープンして2回目の展覧会「オブジェを消す前に -松澤宥 1950-60年代の知られざるドローイング」を開催いたします。
松澤宥(1922〜2006年)は1964年6月1日に「オブジェを消せ」との啓示を受けて以降、美術の表現における絵画・オブジェにとって切り離せない要素である造形や色彩を排し非物質(言語や意味)を表現の媒体として活動しました。「日本概念派の始祖」として知られる松澤は戦後美術の中でもひときわ異彩を放ってきました。

本展ではそんな松澤の1950年代から1964年の間に描かれたドローイングを紹介します。「オブジェを消せ」という言葉とは裏腹に松澤は膨大な数の作品や資料やもの(オブジェ)を遺しました。その中でも1950年代から1964年の「オブジェを消せ」の啓示を受ける直前まで描かれたドローイング群はとりわけ謎めいています。
それらは最近発見されたものであり、未だ公にされたことはありません。松澤の調査、研究は今まさに始まったばかりですが、初期のドローイング作品の読み解きは文献への記述がほとんどないために困難を極めることが予想されます。
しかしテキストや資料によって裏付けていくことが不可能だとしてもわたしたちは松澤作品を前に思考し仮説を立てながら対峙できるはずです。松澤が遺したこれらの作品は現在、分野ごとに細かく枝分かれしてしまった美術や科学や文学といったジャンルの仕切りを溶解し、かつての未分化で不純物混じりの表現が持っていた可能性を蘇生させる手がかりをわたしたちに提示してくれることでしょう。

東京から遠く離れた長野県の下諏訪で「フリー・コミューン」をつくった松澤の試みやオカルト的想像力が相模原という郊外を拠点に「不定形の理想共同体」を標榜し活動してきたわたしたちパープルームにとって重要でないはずがありません。本展はささやかな規模の展覧会ではありますが、わたしたちパープルームにとっても今後、精神的支柱となるはずです。


※本展の会期が2月2日から2月22日なのは1922年2月2日の午前2時に生まれた松澤が「2」という数字に強いオブセッションを抱いていたこと、そしてわたしたちが敬愛してやまないビジュアル系ロックバンド「愛狂います。」が2007年2月22日に本格始動し2012年2月22日に解散したことに由来します。


パープルーム(梅津庸一)




作家のプロフィール

松澤宥(1922〜2006年) 
1922年2月2日、長野県諏訪郡下諏訪町に生まれる。早稲田大学理工学部建築科卒業。
詩を出発点に絵画表現なども試みたが1964年6月1日に「オブジェを消せ」という啓示を受け6月4日から実践した。日本概念派の始祖。