不詳 1950年代か インク・アクリル・紙か 39.0×27.2 cm

松澤宥―イメージとオブジェにあふれた世界

会期|
2020.2.22-3.2(水・木曜日は休廊)
時間|
15:00-20:00
場所|
パープルームギャラリー、パープルーム予備校
企画|
パープルーム (梅津庸一)
協力|
一般財団法人松澤宥プサイの部屋

本展について



本展は松澤宥(1922〜2006年)を「50年代から60年代のドローイング」、「30年代の子ども時代に描かれた作品」、「プサイの部屋の記録映像」の三つのセクションに分けて紹介します。パープルームギャラリーに加えその上階にある私塾、パープルーム予備校の空間も使って松澤のイメージとオブジェにあふれた実験場を追体験しようという試みです。

昨年、弊廊で開催された「オブジェを消す前に -松澤宥 1950-60年代の知られざるドローイング」展は松澤が1964年6月1日に「オブジェを消せ」という啓示を受ける以前のドローイング作品に着目した展覧会でした。松澤につきまとう「日本概念派」というタグを一度とりはずし、松澤のドローイング作品の位置付けと可能性について再考を促しました。
今回、開催する「松澤宥―イメージとオブジェにあふれた世界」展は昨年の展示の流れを汲みつつも、さらに射程を広げます。未だ研究がなされていない松澤の初期ドローイング作品はもちろんのこと、子ども時代の作品にまで遡って紹介し分析します。それによって松澤宥という作家が生涯を通していかにイメージの中で想像力を育んできたのかが、あらためて浮き彫りになることでしょう。

松澤作品を「図画工作と制度としての美術」、「日本と海外」、「戦前と戦後」といった区分から距離をとって考えることは可能なのか。また、参照すべき過去のリソースは、今こうしている間も増え続けていますが、松澤の初期ドローイング作品からわたしたちは、いったい何を受け取ることができるのでしょうか。
本展が松澤作品に固有性や特異点を見出し、特権化、神格化を推し進めていくのではなく、「人が絵を描き、イメージで思考する」という、今を生きるわたしたちにとって、ごく当たり前の行為について省みる機会になれば幸いです。


※本展の会期が2月22日から3月2日なのは1922年2月2日の午前2時に生まれた松澤が「2」という数字に強いオブセッションを抱いていたこと、そしてわたしたちが敬愛してやまないビジュアル系ロックバンド「愛狂います。」が2007年2月22日に本格始動し2012年2月22日に解散したことに由来します。



梅津庸一(パープルーム)





作家のプロフィール

松澤宥(1922〜2006年) 
1922年2月2日、長野県諏訪郡下諏訪町に生まれる。早稲田大学理工学部建築科卒業。
詩を出発点に絵画表現なども試みたが1964年6月1日に「オブジェを消せ」という啓示を受け6月4日から実践した。日本概念派の始祖とされている。